【ネタバレアリ】白爪草の考察とか感想とか、リアリティレベルの話とか桔梗先生のキャラ付けとか

2024/02/25

以前FANBOXで公開していた、映画・白爪草の考察とか感想です。
執筆日:2020.11.2

ここからネタバレ

初回の感想

推しのVTuberが出るのと、全編フルリモート収録ということで、映像とか演技とかあまり期待しない感じで望みました。まあ俗に言うアイドルが主役の映画を見るような気持ちです。
なんですけど、脚本がとにかくいいのと、シロちゃんの演技が素晴らしく、かな〜〜〜り楽しめました。

ハーバリウム買わなくてよかった

作中に出てくるアイテムとしてハーバリウムが販売されていたのですが、これ、買わなくてよかったなって思ってしまった。
1回目の鑑賞では気づかなかったのですが、紅ちゃんが「証拠も残したのに」的なセリフのあとに「自分の爪を見るカット」がありまして、多分ハーバリウムの中に殺した相手の爪が入っているのかなと。
ライティングの問題と、爪のシルエットが花びらに似ていることから、正確に爪とは断言できないんですけど、演出的には多分爪でしょう。

そしてこれに気づいたあと、家に帰ったらハーバリウムがある…。それって怖くないですか?めっちゃ怖いわ。
ファングッズだと思って買ったハーバリウムが作中で殺人を示すアイテムとして出てきてるんですよ?この仕掛がもうびっくりですよ。
たしかによく考えたら、それなりのコストを掛けてハーバリウムをグッズ化する理由ある?って感じなんで、まんまと騙されましたね…。

シロちゃんの双子の演技と攻守交代のタイミングがうまい

見た目が同じ双子として紅と蒼がいるわけなんですけど、入れ替わるために途中で服装を交換してまして。ここで一瞬「どっちがどっちのセリフだ?」って混乱しかけます。
でもすぐにどっちのセリフだかわかるようになっていて、これって結構びっくりでした。

漫画だとこの手の入れ替わりは青年誌向けになっていて、少年誌とかだと混乱する要素です。現に子供向けだと「主人公の見た目が変わる」のは別キャラになるのも同然なので、そのような設定は控えるように言われています。

そこをシロちゃんの演技の差別化でなんとかしてしまうのはすごい。多分微妙にイントネーション変えたりしてるんじゃないかなって思います。2回見たけどそこまではちょっと耳が弱くて気づけなかった。演技経験者の人ならわかるかな?

んでそれと同時に「攻守交代のタイミング」がしっかり描かれているので、あまり混乱しないのかもって思いました。どんでん返しをするたびに攻守交代が行われ、どちらが優勢でどちらが劣勢かというのがわかるような話運びなので、見た目が同じでもどちらがどちらなのかわかるのかなあと思っています。
演出的にも攻守交代のタイミングでわかりやすくそれっぽいカットになってたりしますし。

リアリティレベルの話

なんで夜10時に荷物が来るのか?とか事件とか法律、入れ替わりの細かい重箱の隅をつついていくと結構ボロが出るタイプの作品だと思うのですが、このあたりはリアリティレベルの話かな〜っておりまして。
個人的には「少年誌と青年誌の間くらいのサスペンス」って印象ですね。ジャンプで言うとデスノートとかそれくらいのリアリティレベル。あと浦沢直樹先生の作品とか。
主に見せたいのは「やべーやつVSやべーやつ」なので、そこがしっかり描かれている時点で細かいところは割と問題ないかなと。

なので実写サスペンスの延長線上で見るというよりは、漫画やアニメの延長という感じで、個人的には舞台に近いかな〜って感じです。

キャラ設定のうまさ

シロちゃん大女優!なのでシロちゃんの演技はまあ特に言うことなしとして、他のアイドル部のメンバーはやはりプロではないので演技にちょっと不安があると思います。
これは今後ずっと声優として活動していくなら演技力って解決すべき問題だと思うんですけど、この作品はキャラ設定で解決しているのであんまり演技力に問題を感じませんでした。

できる範囲で最高の演技をしていて、それをキャラ設定で補完しているような感じ。
特にピノ様演じる桔梗先生はその設定を活かしてるな〜って思いました。本人も桔梗先生のようにちょっと物事を俯瞰的に見ているような印象がありますからね。

桔梗先生は「患者の抱えている問題を解決したい主義」の人間だという話

キャラクターって俗に言う「信念」とか「主義」みたいなものがあると思うんですけど、桔梗先生は「患者の抱えている問題を解決したい主義」だなと思いました。

例えばワンピースのルフィは「海賊王になりたい主義」と言う感じで、海賊王になるためなら政府に反するし、仲間のために全力で頑張る。とにかく海賊王になるためなら手腕を問わないタイプです。
同じような感じで桔梗先生は「患者の抱えている問題を解決したい主義」なので、どんな手段を使ってでも依頼された患者の問題を解決したいと思っているタイプの人ですね。

だから紅と蒼どちらの問題も解決しようとする。それがたとえ記憶の植え付けであろうと、それがその人の救済になるのなら手段は問わない。自分の職務を全うしようという点ではまさしく「カウンセラー」。
カウンセラーは寄り添いすぎて患者の感情に飲まれてはいけないので、かなり俯瞰的に2人を見ている。これの積み重ねが狂気になるんだろうなと。

桔梗先生のスピンオフ、期待しています。

だけど10分くらいの短い作品でいいかな〜って。どういう過程があってあのような人間が生まれたのかという前日譚のようなものがちょっとあるといいなって感じです。
画的な魅力は必要最低限で、あとはシナリオや演出でゴリ押しできるいい作品だなって思います。
シナリオも絵も演出も全部がうまくなるのってマジで難しくて、やはりどこかに偏ると思うんですよ、一般的な作家って。
だから自分の持っている魅力を必要最低限のその他でゴリ押せば、案外楽しいんじゃないの?って勇気をもらいました。

自分も画力ゴミでシナリオやらどんでん返し、演出力をアピールしているタイプの人なので…いや、マジで漫画家志望の人とか見たほうがいいかもよ?

最終的な感想として

桔梗先生に人生破壊されたくない?????????

長くなりましたが以上です!!!!